【ジラール・ぺルゴ GIRAD-PERRGAUX】の歴史
こんにちは。
現在では多くのブランドが自社ムーブメントを製造するようになってきていますが、ジラール・ぺルゴはこのような状況になる前からいち早く時代を見据えて自社で製造をしてきたメーカーです。
本日はそんなジラール・ぺルゴについてご紹介をしたいと思います。
歴史
1791年
創業は1791年。
1800年代の創業が多いスイスブランドにおいてかなり古い創業のブランドとなります。
創業者はジャン=フランソワ・ボット
超薄型ポケットウオッチで歴史に名を残す有能な時計師でした。
そして、ジャン=フランソワ・ボットが設立した工房を引き継ぎ、その技を現代まで残すきっかけを作ったのがコンスタン・ジラールです。
1852年
後にマリー・ぺルゴと結婚して現在の社名であるジラール・ぺルゴとなります。
コンスタン・ジラールの義弟でマリー・ペルゴの実弟、フランソワ・ぺルゴは幕末の動乱のさなかである1861年に来日、
横浜に商館を置き懐中時計の販売をしました。
すなわち日本に最初に正規輸入されたスイス時計はジラール・ペルゴなのです。
1867年
スリー・ブリッジ トゥールビヨン
1867年にはパリ万国博覧会に出展したトゥールビヨンで金賞を受賞。
並行にならべた3つのブリッジを備えたキャリバーにトゥールビヨン調速機を付属させた時計の開発を成功。
しかし、なぜこの3本のブリッジが必要だったのか?
それは
➀香箱と2番車はトルクが強いのでしっかりと固定した方が良い
②衝撃などの影響も含めテンプもしっかり固定した方が良い
これらを考慮して発案された構造だったのです。
コンスタン・ジラールはこのムーブメントをさらに細かく改良をしていきました。
1889年
同じくパリで開かれた万博では「ラ・エスメラルダ」を出品し、再び金賞を受賞しています。
これこそが現代まで受け継がれるスリー・ゴールド ブリッジです。
当初から見た目に特徴のあるブリッジがその後のジラール・ぺルゴのアイコンとなっていきました。
ブランドロゴの下にあるマークはこれはブリッジを表現した物となっています。
この機構に関しては1884年にアメリカで特許を取得しています。
1970年
ここまでジラール・ぺルゴの歴史を見てくると機械式時計の名門という印象があるかもしれません。
しかし、実はクォーツ分野においても大きな足跡を残しています。
世界初の量産型クオーツ腕時計と言えば、日本のセイコーが1969年に発表したアストロンが有名です。
この時代、時を同じくしてジラール・ぺルゴもクォーツの開発をしていました。
奇しくも世界初はセイコーに譲ることとなりましたが、セイコーのアストロンは水晶振動数が毎秒8192Hzでした。
一方、ジラール・ペルゴが1970年代に開発したクオーツ時計は毎秒3万2768HZ。
この3万2768HZという振動数は現在のクオーツ時計の標準となっています。
つまり、ジラール・ペルゴもまたクオーツ時計の歴史を語る上で欠くことのできないブランドなのです。
モデル
ジラール・ぺルゴのモデルは以下の5種類から構成されています。
◆LAUREATO(ロレアート)
◆VINTAGE 1945(ヴィンテージ1945)
◆BRIDGES(ブリッジ)
◆1966
◆CAT'S EYE(キャッツアイ)
◆ロレアート
今やジラール・ぺルゴの中でも一番の人気を誇るロレアート。
現在のトレンドでもあるケース一体型のブレスレットとなったラグジュアリースポーツと呼べるデザインはとても魅力的です。
このモデルの原点となったのが1975年に誕生したモデル。
1975年初代ロレアート
今でこそ人気の高いロイヤルオーク(1972年)やノーチラス(1976年)などと時を同じくして誕生したモデルでした。
ただ、他のモデルとの一番の違いはロレアートはクォーツ時計だったのです。
先にも述べましたがクォーツ開発にも力を入れていたジラール・ぺルゴらしいモデルです。
また、ロレアートのデザイナーは公式には発表されていません。
色々な噂が出ていますが最も有力な説がイタリア人建築家「アドルフォ・ナタリーニ」氏が手がけたというものです。
1984年には今のロレアートへ繋がるH型ブレスレットとなります。
さて、そんなロレアートですが次におススメの現行モデルをご紹介します。
ブルー以外にも黒とシルバーの三色があります。
個人的にはブルーがおススメ。
オンオフあらゆるシチュエーションでの活躍ができるモデルだと思います。
現在のジラール・ペルゴの中ではロレアートに次ぐ人気モデルが「ヴィンテージ 1945」です。
1995年に誕生したこのモデルは1945年に製作されたモデルをモチーフにしました。
ヴィンテージ 1945を誕生させたのはあのルイジ・マカルーソです。
ブライトリングのクロノマット開発に協力し、90年代のイタリアでのブライトリング旋風を巻き起こした人です。
彼は1987年よりジラール・ペルゴの経営に参加し1992年にCEOとなりました。
そのマカルーソが世に送り出したモデルがヴィンテージ1945なのです。
2,101,000円
ケースとサファイアクリスタルは上から下へ、左から右へとカーブしています。
ダイヤルの形状に完璧に合うように、ドーフィン型の針は手作業で慎重にカーブがつけられています。
植字アラビア数字インデックス、スモールセコンド カウンター、レールウェイ(線路型)の目盛りといったさまざなディテールは、クラシカルなオリジナルの「ヴィンテージ 1945」にインスパイアされたものとなっています。
1,683,000円
私の中で角型時計の名作と思っているモデルはいくつかあります。
カルティエのタンクやサントス、
ジャガー・ルクルトのレベルソ、
そして、ジラール・ぺルゴのヴィンテージ1945もここに名を連ねる名作中の名作角時計。
クラシカルな雰囲気に存在感のあるサイズが絶妙に幅広いスタイルに合ってしまうのもこのモデルの特徴となっています。
◆ブリッジ
歴史のところでも述べましたようにジラール・ぺルゴのアイコンともなっているスリー・ゴールド ブリッジ。
このシリーズはそのスリー・ゴールド ブリッジが特徴。
高額なモデルばかりですが、時計通をも納得させる作りのモデルばかりです。
1889 年、パリ万国博覧会でゴールドメダルをジラール・ペルゴにもたらしたマスターピースの現代版ラ・エスメラルダ。
18,623,000円
スリー・フライング ブリッジ トゥールビヨンには、ピンクゴールド製の 3 つのネオ ブリッジがあります。
ピンクゴールド製ブリッジの上面と下面にブラック PVD コーティングが施されています。
各ブリッジの細い側面だけがピンクゴールドのままとなり、この素材が使われていることが理解できるようになっています。
各ブリッジは、小さな柘植材の工具を使って、手作業で入念に面取りが施されます。
これは何百年も採用されてきた技法で、完璧な仕上がりにするには、熟練の職人でも丸 1 日がかりとなります。
3 つのブリッジは、輪列、香箱、トゥールビヨンを支えているだけでなく、地板の役割も果たしています。
その結果、ブリッジは空中に浮かんでいるように見え、まるで重力の影響を受けていないかのように表現されています。
スリー・フライング ブリッジ トゥールビヨンに上部・下部クリスタルボックス サファイアクリスタルを取り付けることで、このジラール・ペルゴのモデルには調和の取れた対称性が備わっています。
現代的に見えるスリー・フライング ブリッジ トゥールビヨンですが、それでも高級時計にふさわしく、伝統的な技法が数多く駆使されています。
◆1966
1966年、ジャイロマティック技術を採用し、毎時36,000回という高振動を刻むムーブメントを初めて発表しました。
この機構により、精度が飛躍的に向上することとなります。
毎時3万6000振動のハイビートムーブメント「ジャイロマティック」を搭載した1966年製モデル
そのオマージュとして誕生したのが「1966」コレクションです。
薄型ケースに自動巻きムーブメントを搭載したモデルが基本となっています。