腕時計の色々な魅力とか書けたらいいな的ブログ

仕事で書いた時計に関するブログの備忘録ブログです。内容に間違いがあるかもしれませんので見つけたら指摘してください。

Cartier サントス物語 番外編

こんにちは。

 

飯田です。

 

今回は番外編。サントスではないけどサントスな時計のご紹介です。

 

************************************************

幻のサントス

 

前回までサントスについて熱く?語ってきましたが、

 

今回はその番外編と言いますか、多くの人が謎に思っていることをお伝えします。

 

f:id:gskida:20210903184832p:plain


パンテール

WSPN0006

SMサイズ

日常生活防水

410,000円+税

 

女性に大人気のこちらのモデル、名前は【パンテール】と言います。

 

パンテールとはパンサー、つまりは豹のこと。

 

カルティエを象徴するキャラクターの名前が付いたこのモデル。

 

 

多くの人が思うはず。

 

サントスに似てるじゃん!!と。

 

 

実はコレ、もともとはサントスDという企画でデザインされたモデルがベースになっているんです。

 

1980年代~90年代にかけてカルティエの時計のケースやブレスレットを作る下請けが『エベル』でした。

 

今では時計ブランドとして有名ですが、当時はサプライヤーだったのです。

 

そのエベルの仕事に携わっていたのが、あのエディ・ショッフェルなのです。

 

f:id:gskida:20210903184851p:plain

▲エディ・ショッフェル

 

エディ・ショッフェルさんと言ったら

 

賢明な時計愛好家の方ならご存知かと思いますが

 

あのTAG HeuerのS/elやリンクのデザインを手がけ

 

BREITLINGパイロットブレスレットを手掛けたことをきっかけに近年までブライトリング全製品のデザインを手掛けてきた巨匠です!

 

f:id:gskida:20210903184913p:plain

TAG Heuer S/el

 

 

f:id:gskida:20210903185105p:plain


BREITLING クロノマット

 

 

こうやってエディ・ショッフェルのデザインを振り返ると

 

彼のデザインはブレスレットが特徴的なのです。

 

きっと彼は元々は宝飾のデザイナーだったから、だと私は思っています。

 

そもそも、時計のデザイナーというものがちゃんと確立されたのも最近なのです。

 

f:id:gskida:20210903185121p:plain

▲当時の仕様書(ショッフェル氏が描いたデザイン画)

 

当時のスイスは分業制の社会。

 

ケースのデザインはケースサプライヤーの仕事

 

文字盤のデザインは文字盤サプライヤーの仕事でした。

 

もちろん、大枠のデザインはブランドが出すのでしょうが、細かな調整を含めたデザインはサプライヤーの仕事だったんです。

 

そして、サントスD用のブレスレットとバックルをデザインしたのがエディ・ショッフェルだったのです。

 

 

f:id:gskida:20210903185137p:plain


▲1983年頃

 

しかしながら、当時はエディ・ショッフェルの名は表には出ませんでした。

 

カルティエのアイデアをベースにサントスに付けるブレスレットのデザインをしただけではNOだったのでしょう。

 

そもそも分業体制でのサプライヤーの仕事に含まれたデザイン。

 

 

 

そして、このサントスDが後のパンテールとなるのです。

 

これは公表されていることではないですが、真実のようです。

 

f:id:gskida:20210903185153p:plain

W2PN0006

SMサイズ

日常生活防水

755,000円+税

 

コンビも素敵ですよね。

 

こうして見ると、ブレスレットの1コマ1コマが柔らかな曲線を描いているのはエディ・ショッフェルらしいな、と思います。

 

サントスとパンテール。

 

モデル名は違いますがそこに流れる血は一緒なのだと思いました。

 

************************************************

7回の連載も今回でおしまい。

 

ご覧いただき誠にありがとうございました。

 

ぜひ、興味の出た方は店頭で実物をご覧になってみてください。 

************************************************