70周年【シン・ナビタイマー誕生】~歴史や機能から紐解くナビタイマーの魅力とは~
さて、タイトルにある通り今回はナビタイマーについてです。
1952年に誕生したとされていたブライトリングの代表モデル『ナビタイマー』。
しかし、70周年を迎えた2022年、ちょっとした解釈の修正が・・・
★1952年にナビタイマーの開発を開始
★1954年7月に100本が製品としてAOPA会員に販売
これが正史となります。
とは言え、現存するクロノグラフで継続して作り続けられている最古の時計はナビタイマーで変わりはありません。
そんな時計史に名を残すナビタイマーですが、2022年大幅なモデルチェンジを果たしました。
その発表イベントが3月29日スイスで行われました。
チューリッヒ空港に関係者600名を集め、飛行機を3機チャーターし、ジュネーブに向かう空の上でプレゼンが行われたのです。
今回のこのイベントに運よく私も参加させていただき、ブライトリングと航空界との蜜月な関係を再度認識すると共に
ナビタイマーが感じさせてくれる大空を飛んで旅に出たくなる気持ちを再度強く感じました。
当時の状況はブライトリングのHPにも沢山写真が掲載されているのでお時間ある時に見てみてください。
https://www.breitling.com/jp-ja/news/details/an-icon-unveiled-37017
↑さり気なく私も写ってました(笑)
↑私から見た光景
↑CEOジョージ・カーンも。
↑空港に集まる関係者
これだけ大掛かりなイベントを行ったのも、ブライトリングにとってナビタイマーというモデルは最も重要なモデルであるからだと思います。
そんなナビタイマーのモデルチェンジ。間違いなくナビタイマーイヤーとなるでしょう。
なお、今回このブログは以前書いたものを修正・加筆などをして再編させていただきました。
~もくじ~
【ナビタイマーの魅力】
ナビタイマーは航空計算尺が付いたモデルです。
初代ナビタイマー
この独創的な時計はベゼルを回転させることによってあらゆる計算が可能となります。
第二次世界大戦で軍のパイロット達は航空計算尺(E-6B)の使い方をマスターさせられていました。
大戦終了後、多くのパイロットが民間航空会社で働くようになり、彼らの多くがこの航空計算尺を必要としていたそうです。
そんなパイロット達に向けて、ブライトリングが開発したのがクロノグラフと航空計算尺を備えたこのナビタイマーでした。
このような言い方をすると、ナビタイマーは非常にニッチでマニアック、一般向けの時計ではない、と感じる方も多いかと思います。
確かに一般向けを狙って誕生した時計ではありません。
事実、最初のナビタイマーは1952年から開発が始まり、1954年7月に完成。
最初の100本はAOPA(国際パイロット協会)の会員100名に限定で販売されます。
初期のモデルには文字盤にAOPAのロゴが表記されているのも特徴でした。
このような特異な背景で誕生したナビタイマーですが、
瞬く間に世界中の人々からの熱い要望を受け、翌年の1955年には一般向けにも販売されることになります。
このように、AOPA向けに作られたモデルにはAOPAロゴが表記されたモデルが1960年代までは作られています。
一方で1955年に発売された一般向けにはウィングロゴから『AOPA』の文字は排除されていました。
しばらくその状態で一般にも販売されていたようですが、数年後にはブライトリング独自のロゴマークが必要と判断されたようです。
1965年からはツインジェットロゴが誕生しました。
このような背景のもと誕生したナビタイマーですが、このナビタイマーが持つ機能は日常生活でも活用することは可能です。
そんなナビタイマーの歴史的な背景や機能などは多くの書籍やブログなどで述べられているのでここでは後述させていただきます。
今回、私がナビタイマーの魅力についてお伝えしたいと思うのは歴史や機能だけでなく、
まずはナビタイマーを持つことの意味というか精神的な価値についてお伝えしたいと思っています。
➀時刻と時間と時を哲学する
『時刻』と『時間』の違いを意識している人はどれくらいいるでしょうか。
今では時間は時刻と同義的に使われることが多いですが、本来『時刻』とは一点を示すものです。
時刻表や『現在の時刻は』などの表現などを思い浮かべてもらえば分かると思います。
一方、『時間』はある一点からある一点までの間を指す言葉である。
では『時計』とは何か?と考えたとき、
時計は時刻を知るためのものであるのです。
シンプルにそれだけを求めた時計の究極はパテック・フィリップのカラトラバやロレックスのデイトジャストなどに帰結するのかもしれません。
だがそれだけではない機能が付いたモデルが時計の世界には数多くあります。
それは月の満ち欠けが分かったり、ゼンマイの残量が分かったり、海外の時刻を知ることができたり、、、
単なる今現在の時刻を知るという機能に付加機能を付けた時計は色々とあります。
元々は必要として考えられた機能だったり、単に時刻を知るだけでは面白くないと考え考案されたりしたものなど、、、
ここで改めて
『時間』とは何なのか?考えてみました。
時間とは『時』という連綿と流れ、うつろいゆくものを人類が自分達の生活に役立つように概念化したものが時間ではなかろうかと思うのです。
時間という概念は人が生活をする上で利便的に数値化した道具とも言えるのではないでしょうか。
そんな『時間』を生活の上で使いこなそうとした時に、時間は『計測する、計算する』ということが必要になってきます。
想像してみてください。
今の時刻を知るには時計を見れば良いだけですが、待ち合わせまでの時間だったり、移動までどれくらいの時間がかかるのか、作業が終わるまであとどれくらい時間がかかるのか、私たちは常に時間を計ったり、計算したりして生活をしています。
時計を見つめた時に、時刻を確認するだけでなく、『時間』に思いを馳せることも多いのではないでしょうか。
もう○○分過ぎた
あと○○時間で好きな番組が始まる
そのように時計を見て時間を感じることは多いはず。
そのような『時間』、その時間を使いこなすということを考えたときにベターな解を出した時計の1つがナビタイマーではないかと思うのです。
時間を計測する=クロノグラフ
時間を計算する=計算尺
ナビタイマーはこの2つの機能が盛り込まれた時計です。
そしてナビタイマーの面白いところはその特徴を決定づけている計算尺が付いた文字盤とベゼルのどの目盛り1つにも一切の無駄がないところ。
一見複雑に見えるこの時計は実は時間という人類が産み出した道具と向き合った時に無駄のないシンプルな時計なんだと思います。
複雑なのにシンプル。そんなある種の究極かつ唯一無二の機能美を持った時計ではないでしょうか。
時間を計測し、時間を計算する。
クロノグラフと計算尺が備わっていることで実用的にそれを可能としており、
また、私にとっては文字盤を見ることでそのような『時間』というものの価値や意味を考え、哲学させてくれる時計でもあるのです。
人生は有限であるからこそ、時刻ではなく時間と向き合わなければいけないし、それの重要性を実感させてくれる時計の1つなのです。
②大空を想像させてくれる
私達は生まれてからこれまでに誰もが皆、一度は空を飛んでみたいと空想してみたことがあるのではないでしょうか?
また、落ち込んだ時、綺麗に澄みきった青空を見上げて心を前向きにさせてもらったり、何気なく見上げた空を眺めながら色々な夢や希望を思い浮かべた人も多いはず。
青空だけでなくとも
夕暮れ時の焼けた綺麗な夕陽を眺めて郷愁の念にかられたり、どんより曇った空を見て少し寂しく憂鬱な気持ちになったり。
星が満面に瞬く夜空を見上げて大切な人への想いを募らせたりしたことがある人もいるのではないでしょうか。
空を見上げると大空はいつだって私達に色々な情念を与えてくれます。
ちなみに宮崎駿監督のジブリ作品は必ず空を飛ぶシーンが出てくるというのは有名な話ですが、
宮崎駿作品が人気な理由の1つとしては空を飛ぶシーンが無意識のうちに私達の深層心理に何かしら刷り込まれ訴えかけてくるからなのかもしれませんよね。
そんな大空への想いをその文字盤を見て想起させてくれるのがナビタイマーではないでしょうか。
ナビタイマーを手にするということはそんな精神的な価値もあるのではないかと思うのです。
2.【ナビタイマーの誕生前夜】
空を飛ぶことが命がけだった時代から、パイロットの為に計器や時計を作ってきていたブライトリング。
そのパイロットウオッチの完成形の1つがナビタイマーであることは間違いないはず。
道具としての必要とされる機能を備えたその時計は命がけのパイロットにとって単なる道具としてだけではなく、最後に自分の命を託すことのできる精神的支柱だったはずです。
今や色々なナビタイマーが存在しますが、結局どのモデルも持っている本質やアイデンティティーは変わりません。
そんなナビタイマーが誕生するまでの航空界の歴史やブライトリングの歴史背景を見ていきたいと思います。
➀航空界の始まり
ライト兄弟の飛行記録
ライト兄弟が初飛行を成功させてからもうすでに100年ちょっと。
最初の飛行はたったの36.5mだったんですよね。
たった100年余りで今のような航空技術が進歩しているっていうのは何だか凄いなぁと思うんです。
人の人生の長さくらいでの進歩ですもんね。。。
1914年 第一次世界大戦が開戦
そして、11年後に始まった第一次世界大戦では戦争で初めて飛行機が使われました。
当時は燃料メーターやスピードメーターが付いていない飛行機が飛んでいました。
1900年代初頭のクロノグラフ
当時のパイロットの必需品がクロノグラフ(ストップウオッチ付き時計)と計算尺。
時間を計って、計算するんです。。。
計算尺は数字を合わせて、掛け算や割り算などをする計算機。
今では電卓やPCがありますが、そういう便利な物がない時代の計算機。
(ちなみに世界初の電卓は1963年誕生。普及していったのは1970年代以降と言われています)
様々な種類の計算尺がありますが、パイロットはこれらを駆使してフライトプランをたてて飛行を行っていました。
航空計算尺(E-6B)
ちなみに現在、パイロットに愛用されているのがE-6Bと呼ばれる航空計算尺(フライトコンピューター)です。
これを使って、速度、到着予定時間など簡単に計算することができます。
1970年代以降に電卓が普及したことにより一般的には計算尺は使用されなくなっていきましたが
航空界では現在でもこの航空計算尺が使用されています。
コンピューターなど電子機器は突如トラブルが発生する場合がありますが、アナログな航空計算尺ではそのような心配がありません。
いざという時最後に役立つのはこういうアナログなものなのです。
②ナビタイマーが誕生した背景
それではブライトリングの歩みを今一度、振り返ってみます。
創業が1884年。レオン・ブライトリングによってその一歩を踏み出します。
レオン・ブライトリング(1860年~1914年)
最初の頃は懐中時計のクロノグラフを作っていました。
当時のクロノグラフ
そして、2代目のガストン・ブライトリングの時代になると
その懐中時計にベルトを付けて腕に巻けるようにして腕時計型クロノグラフへと進化していきました。
ガストン・ブライトリング(1884年~1927年)
当初のころクロノグラフは上の写真の丸で囲ったリューズの部分を押すことでスタート/ストップ・リセット操作の全てを行っていました。
1915年には独立したプシュボタンを開発。2時位置のボタンでスタート/ストップ・リセットを行いました。
1923年には2時位置のボタンでスタート/ストップ、リューズでリセットを行えるようになります。
そして1934年には2つのボタン(スタート/ストップとリセットのボタン)を開発。
特許を取りました。
これが、今現在もなお、クロノグラフのスタンダートなスタイルになっています。
クロノグラフの礎を築いたブランドと言えます。
ウィリー・ブライトリング(1913年~1979年)
そして、三代目のウィリーブライトリングの時代についにナビタイマーが登場いたします。
ガストンの時代に作られた腕時計型クロノグラフに航空計算尺を合わせてできた物がナビタイマーなのです。
ナビタイマーはブライトリング家が三代に渡って歩んできた時計作りの到達点とも言うべきモデルでした。
3.【ナビタイマー誕生の背景】
ブライトリングが一番最初に回転計算尺を搭載したモデルを発表したのが1941年。
初代『クロノマット』です。
1941年 Ref:769 初代クロノマット
定説では1942年に発表とされていましたが、1940年8月に特許出願され、1941年に発表されたというのが最新の情報です。
名前のCHRONOMATの語源はChronograph for mathematicians=数学者用クロノグラフ。
このモデルはその名前が示す通り、数学者はもちろんのこと、製造(技術者)、利回り(金融業者)、遠隔測定(軍事)、スポーツマンやドライバーなど、あらゆる業界で計算尺付きの時計が有用であることが証明されました。
その約10年後に現在も使われているものと同じ航空用計算尺を搭載した初代ナビタイマーが誕生いたします。
1954年 Ref:806 初代ナビタイマー
国際パイロット協会AOPAの公認時計となります。
このモデルは当初AOPA会員向けだけに作られました。
この初期のナビタイマーが開発された背景にはワックマンの存在がありました。
ワックマンはかつてブライトリングのアメリカ市場向けブランドとして知られていました。
元々ワックマンはポルトガルを拠点としたブライトリングの正規販売代理店でした。
終戦後、ワックマンはニューヨークに移転し「ワックマン・ウォッチ・カンパニー」を設立しています。
そして、1947年にワックマンとブライトリングはアメリカ国内でブライトリングを販売する合弁会社を設立しました。
「ブライトリング・ウォッチ・コーポレーション・オブ・アメリカ」(通称ブライトリングUSA)です。
このような経緯から“ワックマン”というブランドがブライトリングのアメリカでのブランド名となりました。
また、ワックマンとブライトリングのWネームも存在していました。
そのワックマンはアメリカの様々な民間航空機メーカーや軍用航空のためにオンボードクロックを販売しました。
このような経緯からワックマンはアメリカの航空業界に接近していきました。
やがてワックマンはAOPAとも知り合いとなり、AOPAにもワックマンの時計を販売するようになります。
▲オンボードクロック
この頃AOPA側はおそらくAOPAの名を冠した時計を作りたいと考えていたと思われます。
ワックマンはこの好機をウィリー・ブライトリングに伝えました。
ウィリーはその頃、既に完成されていた回転計算尺付きのクロノマットにパイロット達が使うE-6B航空計算尺を搭載することを思いつきます。
そうして52年に開発がスタートし、1954年7月に100本のみ生産されAOPAへ卸されます。
その後年末から増産がスタートし1955年末には一般向けに販売されるようになります。
このような経緯から誕生したので初期のナビタイマーはAOPAのオリジナル時計的な扱いだったのでしょう。
AOPA向けに作られたモデル(左)にはウィングロゴに『AOPA』の文字が入っており、文字盤のどこにも『BREITLING』の文字はありません。
一方で、一般向けに作られたモデル(右)にはウィングロゴから『AOPA』の文字を抜き取り、文字盤に『BREITLING』の文字が入っています。
このような背景で誕生したナビタイマー。
次は現在に至るまでのその変遷についてご紹介します。
4.【ナビタイマーの変遷】
1954年 Ref:806 初代ナビタイマー
初代ナビタイマーのムーブメンにはバルジュー72が搭載されていました。
1955年の終わりごろからヴィーナス178が使われるようになります。
なおこのデザインのタイプでもコレクターの間ではマーク1.1、1.2、1.3、2.1、2.2と分類されたりしています。
1959年 Ref:806 2ndナビタイマー
1959年にナビタイマーの2ndモデルが出ます。
リファレンスも初代と同じで、搭載するムーブメントも初代と同じヴィーナス178。
違いは、アラビアではなくバーインデックスを採用し、インダイヤルも反転カラーの白へと変更しました。
これにより、視認性もさらに向上し機能的にも進化したと言えるのではないでしょうか。
このモデルがデザイン的に現在のナビタイマーへと受け継がれてきています。
1960年代前半のナビタイマー Ref:806
そして、1960年代前半には一般販売向けのモデルにはAOPAロゴを模したウィングから2つの鳥(飛行機)、『ツインジェット』マークへと変わります。
リファレンスは同じRef:806。ムーブメントもヴィーナス178を搭載。
1960年代中盤のナビタイマー Ref:806
そして、1960年代中盤からは上記のようにインダイヤルが大きくなったRef:806が登場します。
もちろんムーブメントも名機、ヴィーナス178。
リファレンスやムーブメントは変わらなくとも、視認性を考慮した改良だったのではないでしょうか。
その後、1970年代の所謂クォーツショック(クォーツレボリューション)によりブライトリングは苦しい経営を続けていきます。
それを救った四代目アーネスト・シュナイダーが登場させたのがオールド・ナビタイマーでした。
アーネスト・シュナイダー
アーネストは新生ブライトリングを3つの柱を軸に建て直しにかかりました。
■クロノマット(現代の最先端な機械式パイロットウオッチ)
■ナビタイマー(歴史を受け継ぐ機械式パイロットウオッチ)
■エアロスペース(テクノロジーを使ったクォーツパイロットウオッチ)
1985年 Ref:81600 オールドナビタイマー
1985年に手巻きのレマニアのムーブメントCal.1872を搭載したのが『オールド・ナビタイマー』でした。
なぜ”オールド”を付けたか正確なことはわかりませんが、おそらくナビタイマーも1970年代などはクロノマチックを搭載した奇抜なデザインのものや、クォーツのナビタイマーLCDなどもあったので伝統的なナビタイマーのスタイルを受け継いだモデルとして”オールド”と付けたのじゃないかと推測いたします。
このオールド・ナビタイマーですがそれまでのモデルと大きく違うところがありました。
現代のブライトリングを知る方には馴染み深いこのウィングロゴが文字盤に採用されたのです。
そして、1986年には
1986年 Ref:81610 オールド・ナビタイマー
ムーブメントにバルジュー7750を搭載して自動巻きモデルとなりました。
名前は引き続き『オールド・ナビタイマー』でした。
1992年 Ref:A13020 オールドナビタイマーⅡ
1992年には非防水だったのが3気圧防水に変更。
風防もミネラルクリスタルからサファイアクリスタルへと改良されました。
さらにクロノ針に『B』マークが付きます。
この変更で名称も『オールド・ナビタイマーⅡ』に。
さらに1994年には視認性をUPさせる為にインダイヤルの数字が変更されます。
表記する数字を多くしてより読み取りやすくしています。
1994年 Ref:A13022 オールドナビタイマーⅡ
1999年に創設された『ブライトリング・ファイターズ』という第二次世界大戦で活躍した各国のレシプロ機を編成して編隊飛行を繰り広げたチームがあります。
この活動は2003年まで続くのですが、この活動を記念した特別モデルが2000年に出ました。
2000年 Ref:A13330 ブライトリング ナビタイマー ファイターズ
ケースやブレスはサテン仕上げ
風防はクラシカルさを出す為にミネラルクリスタルを使用。
文字盤中央には特別バージョンという事を示すSERIE SPECIALEの文字が。
こうして、85年に誕生(自動巻きの縦目は86年から)したオールド・ナビタイマーは20年近くの年数をかけて熟成の領域へと達成していきました。
ブライトリングの次なる一手は2003年に起こります。
2003年 Ref.A2332(A232B35NP) ナビタイマー
2003年にナビタイマーはモデルチェンジいたします。その名も【ナビタイマー】。
名前から『オールド』が取れて、以前と同じ『ナビタイマー』に。
ベースのムーブメントもバルジュー7750から7753へと変更になりました。
これにより60年代のナビタイマーと同じような横目のインダイヤル(下三つ目)の配列となりました。
スタイルは往年の下三つ目。
機械はクロノメーター仕様の自動巻きバルジュー7753がベース。
ただ、カレンダーの早送りが少々面倒な仕様だったのがファンの間からは少し不満が漏れていたのも事実・・・・
(時間を20時⇒0時へ早送りしてカレンダーを切り替える。また0時⇒20時へ時間を戻して、再度0時まで早送り、この繰り返し)
そのような状況の中、ブライトリングは2009年に初の自社開発のムーブメント『キャリバーB01』を発表します。
5年の歳月をかけて完成させたこのムーブメント。
まずは最初にクロノマットに搭載されました。
このキャリバーB01の魅力は以前書きましたのでどうぞコチラを一読ください⇒『BREITLING キャリバーB01の魅力』
特徴を羅列しますと
◆70時間以上のパワーリザーブ⇒一般的には40時間程度が多い
◆24時間カレンダー早送り可能⇒一般的には20時~3時の間は禁止
◆垂直クラッチ⇒クロノグラフを作動しても精度が安定。針飛びがない
◆コラムホイール⇒押し心地がよい。摩耗も少ない。
などです。
他にも特徴はあるのですが
私が一番この機械の魅力を言うとしたら”メンテナンス性の高さ”です。
ウオッチメーカー(技術者)フレンドリーな設計になっており、メンテナンスがし易い作りになっています。
これはムーブメントの開発時に設計者だけでなく技術者も交えて開発されたからです。
設計者と技術者は混同されがちですが、設計者は洋服のデザイナーみたいなもので技術者は洋服のお直し屋さんみたいなもの。
もちろん両方こなせる人もいますが、設計段階で修理などメンテナンスのことまで考えているのが良いな、と。
時計は永く使い続けていくには必ず必要になるのがメンテナンス。
そのメンテナンスにまで配慮をしたムーブメントって良いですよね。
4代目セオドア・シュナイダー
キャリバーB01の開発は当時CEOのセオドア・シュナイダーの指揮によるもの。
彼を筆頭に当時の副社長であり、セオドア・シュナイダーの腹心でもあるジャンポール・ジラルダンの辣腕で推し進められた待望のムーブメントでした。
2011年 Ref.AB012012(A022B01NP) ナビタイマー01
そして、ついに2011年にナビタイマーに『キャリバー01』を搭載したモデルが出ます。
名称も『ナビタイマー01』となりました。
以前のモデルと比較すると
翼マークのロゴがプリントからプレートへと変更。
さらに、視認性も考慮されて、クロノグラフの秒針が赤色に。
これにて、ある種の究極のナビタイマーが完成した!
と私は思っています。
52年に開発がスタートしてからナビタイマーは常にブランドの代表モデルでありました。
その代表モデルにこれ以上ないと言えるくらいのスペックとクオリティを追求した最先端の技術を投入したモデルがナビタイマー01です。
01に代わる新たな基幹ムーブメントが開発されたら別かもしれませんが、そんな簡単に出てくるものでもないでしょうし。。。。
成熟しきったナビタイマー。
そんな2011年から続いたナビタイマーが2018年にマイナーチェンジをしました。
2018年 AB0121211B1 ナビタイマー1 B01
どこが変更されたか見てみましょう。
↑右のモデルが今までのナビタイマー01ですが、どこがマイナーチェンジになったのでしょうか。
新しいナビタイマーの変更は大まかには以下の3つ
◆ロゴマークの変更
◆インダイアルの書体と向きの変更
◆カレンダーの書体の変更
カレンダーやインダイヤルの書体はCEOがジョージ・カーンに代わってから発表のあったモデルと共通になっています。
これはブランディングの上で重要な点で、今までブライトリングの書体はモデルによって変わったりしていたのですが
実はそれは珍しいことで、基本このように統一してくるのが望ましいとされています。
また、ロゴの変更はナビタイマーに限らずコーポレートロゴが変更に伴うもの。
今後のブランドの方針でもあります。
↑新しいコーポレートロゴ。
このようなナビタイマーの変化は2017年からCEOとなったジョージ・カーンの戦略。
ジョージ・カーンはブライトリングが持つアーカイブを見直し、それぞれのモデルに対して原点回帰的な発想で矢継ぎ早に変革をもたらしてきました。
彼のその手腕は世界的にも受け入れられ、業績は現在もなお右肩上がりとなっています。
そんな、ジョージがナビタイマーに大胆なメスを入れたのが70周年を迎えた2022年でした。
5.【シン・ナビタイマー誕生】
1952年に開発がスタートしたナビタイマーにとって、70周年を迎える2022年は大きな節目の年となります。
この節目の年にジョージ・カーンはナビタイマーをさらに原点回帰をさせ、ブライトリングの象徴的モデルということを改めて大きく印象づける大胆な変化を遂げます。
今回のナビタイマーは外装に関しては従来のナビタイマーと同じ部分は無く一新いたしました。
中でも大きく違うところの一部を列挙いたします。
◆ロゴ・・・AOPAロゴの復活
◆カレンダー位置・・・6時側に移動
◆クロノ秒針・・・Bマークが無くなり、先端も三角ではなくなった
◆タキメーター・・・文字盤からタキメーターを無くしてスッキリ
◆サテン&ポリッシュ・・・従来は全面ポリッシュでしたが、新型はケースサイドがサテン。ブレスもコンビに。
写真などでパッと見て分かる変化はそんなところでしょうか。
しかし、個人的にもっと気になる変化は以下の内容。
◆文字盤
従来のナビタイマーは黒文字盤がメッキ仕上げでした。目盛りの部分はマスキングして、その上にメッキを施していました。
それに伴い目盛りはシルバー色になっていました。
一方、新作はラッカー仕上げのペイントとなっています。目盛りも白く新旧で比較して見てもらうと違いがよくわかる部分です。
◆回転計算尺
回転計算尺の外周スケールは従来はすり鉢状になっていたのに対して新作はほぼフラットな状態となりました。
これは50~70年代のナビタイマーに共通するディテールで、クラシカルな雰囲気が増しました。
ちなみに計算尺の書体も改められました。従来は計算尺の書体が内側と外側で違いがありました(1を見てもらうと分かります。)
今回の変更で内外ともに書体が統一されています。
◆ベゼル
上記に伴い若干ベゼルが薄くなり、刻みも大きくされました。また風防もドーム状の曲面も強くなってます。
その他にもムーブメントのローターが変わったりなど、列挙したらキリがない変化です。
しかし、これも原点回帰を意識した変化であり、ジョージ・カーンが掲げる【モダンレトロ】を体現したモデルチェンジです。
広告に使われたイメージビジュアルも70年代のレトロなファッションが起用されています。
サイズ展開は46㎜、43㎜、41㎜となっており、
主力となるであろう43㎜は黒文字盤以外はインダイヤルと回転ベゼルがブラックになっています。
これは60年代から70年代にかけてよく見られた配色。
40㎜サイズは女性の着用も意識した配色となっており、青文字盤以外の針はゴールドになっています。
これがまた女性だけなく古典的でベーシックなモデルが好きな男性の方にもグッとくる作りになっています。
サイズ感やインダイヤルとケースのバランス、配色、素晴らしいです。
今回大きなモデルチェンジをしましたが、
ナビタイマーのように歴史があり、機能を追求していきできあがった、ある意味完成されたモノに下手に手を加えることは非常に難しいものです。
せっかくの完成されて受け継がれているものを壊してしまう恐れもあります。
かの、ドイツの時計ブランド『SINN』の創設者でパイロットであったヘルムート・ジン氏も言っていました
ナビタイマーは『デザインは完璧であり、手を入れる余地がない』と。
『わけがわからない複雑さで、いつまで経っても飽きない、機械としての面白さがある。それでいて、無駄を省いた機能性はまさに感動的なクロノグラフである。空を飛びたくなる衝動に駆られるから不思議だ。史上、最も華麗な腕時計だと私は信じている』
と、言っています。
そんなナビタイマーが今回はこのように大きな変化を遂げました。
この新しいナビタイマーを
私は愛情を込めて『シン・ナビタイマー』と呼んでいます。。。。
6.【装着インプレッション】
今回は43㎜を着用。
以前のモデルよりもインダイヤルが大きくなり、個人的には好みのデザインです。
何と言ってもAOPAのウィングロゴが良いですよね。
サイズ感も程よいです。クラシカルに着けたい場合は41㎜を選択すると思いますが、モダンレトロな感じでファッション的に着用したいのなら43㎜かと。
文字盤がラッカー塗装になり、以前よりも深みのある黒色になっています。
そこにホワイトの目盛り、しかもタキメーターが表記されなくなったので以前よりも断然見やすくなりました。
今回はかなり曲面の強い風防となっています。
斜めから見た時のこの立体感は個人的に好きなところ。
もちろん、今回も両面無反射コーティングを施した風防の為、どの角度から見ても視認性は抜群です。
ケースの厚さは13.6㎜。
前作が14.2㎜でしたので、若干薄くなりました。
重心バランスも大変よく、着け心地良好です。
ケースサイドは艶消しになっているので以前のようなギラつきは無くなりました。
初期のナビタイマーと同じような仕上げになっています。
こちら旧作。
斜めから見ると外周の計算尺がすり鉢状にせり上がっています。
昔、この形状を見て『カップケーキみたい』とおっしゃっていたお客様がいました。
文字盤に奥行き、深みがあり、これはこれで好きなディテールでした。
一方、シン・ナビタイマーは外周がほぼフラット。文字盤も若干ボンベとなっておりクラシカルになっています。
80年代以降のナビタイマーを見慣れている人にはこの仕様変化が一番違和感を感じるのではないでしょうか。
一方でアンティークのナビタイマーを愛用している人などには『これがナビタイマーだよね』って思ってもらえる仕様変化だと思います。
旧作のブレスレットはケースとの間に隙間が空いていました。
これを気にされる方もいました。。。
シン・ナビタイマーはブレスがケースに密着。
一体感のある仕上がりとなっています。
旧作のブレスレットはダブルロック仕様。
実用性と耐久性を考えたものでした。個人的には非常に好きです。
一方、新型は両開きのプッシュボタンによる開閉。
道具(ツール)として考えたら個人的にはダブルロックの方が好みですが、シン・ナビタイマーのように実用性だけでなく、古典的な要素とファッション性も兼ね備えたモデルならば日常使いしやすい両開きもアリだと思います。
搭載されるムーブメントは従来と同じキャリバーB01ですが、ローターのデザインが変更となりました。
上記写真、右がクロノマットのB01で旧作ナビタイマーもこれと一緒でした。
一方写真左がシン・ナビタイマーのムーブメント。ローターが中抜きになっています。
ヘッドの重さも従来は79g前後だったのが、シン・ナビタイマーは77g前後と若干軽量化。
本当にわずかな差ですが、前よりも若干着け心地がよくなりました。
7.【計算尺の使い方】
ナビタイマーの特徴を圧倒的に決定付けている計算尺。
この計算尺は見た目だけでメカニカルでかっこいいと思う人もいると思いますが、どうせだったら使いこなせたら楽しいのは間違いないはず。
そんなわけでして、次に計算尺の使い方をご紹介します。
まずは数字の読み取り方を覚えましょう!
まず、基点となるのが10時方向にある赤い10がポイントです。
この計算尺にある数字は計算する数字に合わせて桁を換算して読み取ります。
どのようなことかと言いますと
この赤い10は
10=・・・・0.01、0.1、1、10、100、1000・・・・
と、計算する対象の数字が100だったらこの赤い10を『100』と換算して読み取ります。
つまり
10の下にある11という数字は計算によっては
11=・・・0.011、0.11、1.1、11、110、1100・・・・
と読み取ります。
なお、この数字の表記は時計まわりに大きくなっていきます。
↑このような感じです。
ここまで、理解できましたでしょうか。
➀掛け算
それでは次に掛け算の方法をご説明します。
例えば3×4という掛け算の場合。
まず、外側の数字の3を内側の基点【10】に合わせます。
ここでいう外側の3は『30』を3として換算して読み取ります。
↑このように30(3)を内側の10に合わせます。
次に、
3×4なので、内側の4を見ます。
この場合、4は『40』を4として換算して読み取ります。
そうすると内側の4(40)の外側に答えの12があります。
これが掛け算の方法になります。
3×4でも
30×4でも
3×400でも
桁が違うだけなので、すべてこのように数字を合わせることになります。
何度も言うようですが、桁は換算して読み取ります。
②掛け算 応用編
1ℓ=170円のガソリンを給油する場合
内側の10に外側の17を合わせます。
⇒これで、1ℓ(10)=170円(17)ということになります。
そして
40ℓ給油した場合は
内側の『40』を見ていただけると外側が『68』を指しているので=6800円かかるということがわかります。
30ℓ給油した場合は
同じように内側の『30』を見ていただけると外側が『51』を指しているので=5100円ということがわかります。
このような感じで同じように円とユーロの換算表にも使えます。
③速さ・時間・距離の計算
さて次にご紹介するのが私が個人的に好きな計算。
小学校の算数で勉強した計算です。
例えば時速120㎞/hで走行していて、80㎞先の場所までは何分で到着するか?
と言った場合。
時計の真ん中にある【MPH】(Miles Per Hour=マイル毎時)という矢印に時速である120(12)を合わせます。
そして、80㎞先まで行くので、外側の80を見ます。
↑この黄色で囲んだ80ですね。
そして、この外側の80に対して内側が40を指しています。
つまり、
時速120㎞/hで80㎞先の距離は40分所要するというのが答えとなります。
逆に
80㎞離れた場所まで50分(以内)で着きたいと言った場合
①外側の80(㎞)と内側の50(分)を合わせます。
②次にMPHに対する数値を確認⇒96を指しています=時速96㎞/hで走れば50分で着きます。
以上のような計算もできます。
これらの計算は小学生の頃の・・・
これですね。
み(道のり)
は(速さ)
じ(時間)
で覚えている方もいますし
は(速さ)
じ(時間)
き(距離)
で覚えている方もいるかと思います。
なお、
時速90㎞/hで750㎞離れた場所まではどれくらい時間がかかるんだ?
と言った場合は
①90(㎞/h)をMPHに合わせます。
②続いて外側の75(750㎞)を見ます。
そうすると答えは50となります。
ん?50?
5時間?
と思った方もいると思います。
答えは500分です。
なので、時間に直す場合は500÷60をしなければいけなくて
8時間20分となります。
④時間・分・秒の換算
例えば2時間は何分? 2時間は何秒?と言った場合
①内側の10に外側の20(2時間)を合わせます。
②内側のMPHの外側に12(120分)と数字が来ます。
つまり2時間=2×60分=120分なので、時間を分に換算できています。
次に
③内側の赤い△(STATとNAUTに挟まれた、10の対極にある△です。)を見ます。
そうすると外側に72(7200秒)が表示されます。
つまり、2時間=120分=7200秒なわけです。
⑤マイルとキロメートルの換算
1マイル=1.609344㎞(約1.61㎞)です。
陸上競技をやっていた方なんかは馴染み深いと思いますが
400mトラックを1人1周、4人で合計4周するリレーを【マイルリレー】と呼んでましたよね。
そんな、マイルとキロメートルの換算がコチラ↓
①内側の『STAT』と書いた矢印に10(1マイル)を合わせます。
※STATは法定マイル(statute mile)の略。
②内側の『KM』を見る⇒約1.61を指しています。
このようにして、例えば90マイルは何キロメートル?という問いに対してはSTATに90を合わせればKMのところに答えがきます。
同じように海での距離を示すノット(海里)も『NAUT』という文字が内側にあると思いますが換算できます。
いかがでしょうか?
数字や目盛りが多いので一見面倒くさそうに感じる計算尺ですが以外と難しくはなく
一度覚えてしまうとちょっとした計算に使えますし、遊べます。
8.【まだ買える?生産終了ナビタイマー】
2022年にモデルチェンジを果たしたナビタイマーですが、今までのモデルはどうなるのか?
実は3針モデル以外は全て生産終了となります。
そこで、ここでは生産終了モデルでも今ならギリギリ手に入りそうなモデルをご紹介します。
ただ、どれも市場ではもう残りわずかのようです・・・
1.ナビタイマー B01 クロノグラフ 43 ジャパンエディション
品番:AB0121A21B1A1
ケース径:43mm
防水性:3気圧防水
ムーブメント:ブライトリングB01
1,149,500円(税込)
代表モデルのナビタイマーB01の2020年日本限定モデルです。世界的にはナビタイマーに使用されなくなったウィングロゴを復活。
しかもプレートではなくプリント。プレートの方が好きという方もいると思いますがこちらの方が翼のデザインがハッキリと見やすくて好きという方もいます。
そして何よりこのカラー。アンスラサイトの文字盤にブラックのインダイヤル。
ワントーンの文字盤のような引き締まった印象がありながらも絶妙なコントラストが目をひくデザインです。
2.ナビタイマー B01 クロノグラフ 43
品番:
AB0121211B1X1
ケース径:43mm
防水性:3気圧防水
ムーブメント:ブライトリングB01
962,500円(税込)
定番モデルだったBロゴのナビタイマー。2018年に登場してから4年しか製造されていません。
しかも日本ではこのモデルが作られていた期間は日本限定の黒文字盤ナビタイマー(ウィングロゴ)が作られていたので
実はBロゴの黒文字盤ナビタイマーは市場流通が少ないんじゃないかと思います。
ウィングロゴからこのBロゴに変更になった時にはウィングロゴの方が良い!という声が多かったですが、今ではブランドロゴとしてのBマークも定着していますし
このBロゴがナビタイマーの文字盤から無くなると思うとそれも少し寂しい気がします。。。
品番:A24322121B2A1
ケース径:46mm
防水性:3気圧防水
ムーブメント:ブライトリング24
913,000円(税込)
以前は『ナビタイマー ワールド』として作られていたモデルの現行機。
インダイヤルも同色にすることで初代ナビタイマーへのオマージュ的な要素も。
海外時間を表記できるGMT機能は実はパイロットにとっても意味のある機能です。
国際線のパイロットは標準時を基準にしますので自国の時間だけではなくもう1つの時刻を知れる時計は便利な機能となります。
そもそもGMTの機能は今日では海外への旅行者用に捉えられがちですが、元来はパイロット向けの機能として誕生しています。
クロノグラフ以外に+αの機能が付いたナビタイマーは全て生産終了したので、そのような点でも面白い存在です。
4.ナビタイマー クロノグラフ 41
品番:A13324121B1A1
ケース径:41mm
防水性:3気圧防水
ムーブメント:ブライトリング13
792,000円(税込)
かつて『オールド・ナビタイマー』と呼ばれていたモデルと基本仕様は同じモデルで、インダイヤルを同色にしたのはGMTと同様に初代モデルへのオマージュ。
クロノグラフ付きナビタイマーのエントリーモデルですが、信頼性の高いムーブメントと程よいサイズ感は使いやすいモデルです。
9.【私的おススメ現行ナビタイマー】
■ナビタイマー B01 クロノグラフ 43
品番:AB0138241C1P1
ケース径:43mm
防水性:3気圧防水
ムーブメント:ブライトリング01
1,072,500円(税込)
新作ナビタイマーの中でも一番の人気がこちらのアイスブルー。
もはや時計業界では人気のカラーです。他のモデルでもアイスブルーは売り切れることの多い人気色。
ナビタイマーのアイスブルーは画像で見るのと、実物では印象が若干違うんじゃないかと思います。
角度によってはシルバーっぽい色合いにも見えて、合わせやすい色に感じてもらえると思います。
クラシカルなナビタイマーにモダンさを与えてくれる配色。
70年続くナビタイマーの中でも今までにない新しいカラーというのも新鮮で、惹かれる部分です。
■ナビタイマー B01 クロノグラフ 43
品番:AB0138241G1P1
ケース径:43mm
防水性:3気圧防水
ムーブメント:ブライトリング01
1,072,500円(税込)
私が今回の新作の中から買うとしたらこのモデルかな、、、と思っています。
パンダカラーのナビタイマーは実は20年以上前から憧れていた1本。
1999年に日本限定で出た【ナビタイマー1999】が欲しかったんですよね。。。。
あのモデルと色合いは違いますし、計算尺の外周は黒くなかったですが憧れの配色なので・・・・
このカラーリングって良いですよね?
■ナビタイマー B01 クロノグラフ 41
品番:AB0139211G1P1
ケース径:41mm
防水性:3気圧防水
ムーブメント:ブライトリング01
1,050,500円(税込)
41㎜のナビタイマー。女性オーナーも視野にいれたサイズとカラー展開と思われる41㎜。
ただ、コアな時計好きには41㎜のナビタイマーがもっとも好まれるのではないでしょうか。
50年代に作られた初期のナビタイマーと同じケースサイズというのも良いところですが、何と言ってもケースサイズやインダイヤルの大きさなど全てのサイズバランスがちょうど良いんです、個人的に。それこそ、41㎜の魅力は画像では感じれないかと。実物を43㎜と比較すると分かっていただけるかと思います。
シルバー文字盤にゴールド針というのもクラシカルでたまりません。
服装やシチュエーション、時代を選ばないデザインではないでしょうか。
私がまったく時計を持っていないくて、1本時計を選べと言われたらこのモデルを選んでいるかも、、、、と思えるくらい良い仕上がり。
■ナビタイマー B01 クロノグラフ 43
品番:AB0138211B1A1
ケース径:43mm
防水性:3気圧防水
ムーブメント:ブライトリング01
1,122,000円(税込)
そして、やっぱりナビタイマーの王道と言ったらコレなんですよね。
安心感のある大定番です。前半の方で旧作と比較しましたがそこでは書いてませんがインダイヤルの針に色を入れたところなど好感度UPしています。
また、サテンとポリッシュのコンビになっているのが、ここ20年来のナビタイマーと比較して非常に新鮮に感じます。
あと個人的にはナビタイマーのカレンダーが4時方向にあるのがあまり好きではなかったのですが今回は6時位置になり、シンメトリーとなったのも好きなところなのですが、このシンメトリーになったナビタイマーで黒文字盤の大定番は欲しいよな、、、、と思ったりします。
語彙力がなくてうまく言えませんが上記の4本はどれか1本個人的に欲しいんです。
自分が欲しいモデルで選んだのでこの4型のご紹介になりましたが、大きいサイズが好みな方は46㎜も全然アリだと思います。
ぜひ店頭で見比べてください。
【まとめ】
今まで何度かナビタイマーについてはブログでご紹介しています。
しかし、何度書いても、何度触っても、何度見ても、何度着けても、ナビタイマーの魅力は色褪せません。
私が一番最初にナビタイマーを目にしたのが1997年。時計に興味も関心もない小僧の私が見た第一印象は『変な時計』でした。
クロノマットの方が断然カッコ良く見えました。
しかしクロノマットを購入してから段々とナビタイマーに惹かれていくようになりました。
1999年にはコスモノートを購入。所有してさらにナビタイマーの魅力を感じましたし、ナビタイマーはブライトリングというブランドの魅力を最大限に体現しているモデルだと思いました。
ただ、個人的には防水性がずっとネックとなる部分でした。
自分にとって大切で大好きな時計は『いつでも、どこでも、着けて一緒にいられる時計』という想いがあり、それこそ海の中でも着けていける防水性の高さを以前はずっと求めていました。
でも、ある時から防水性能にはあまり拘らないようになりました。なぜならどんな防水性が高いモデルでもメンテナンスをしていないとパッキンが痛んで防水性が担保されなくなることもあるわけです。海の中でも着けていけるような安心感を持ちたいなら1年に1度は防水点検やメンテナンスをしていないと安心できません。
しかし、そんなマメなことを私がするわけもないので、そのようなことを考えてたら防水性に拘るのは辞めようと思ったのです。
自分にとって高い防水性能が重要でなくなってからはより一層ナビタイマーに惹かれていきました。
自分の中では最高の実用時計の1つだと思っています。
そしてその機能性だけでなく、単純にナビタイマーは見た目もカッコいいいと思うのです。
そのカッコよさってなかなか言語化できないんじゃないかなと思うんですよね。
ある種の究極の機能美があるモデルだと思います。
ちなみに今回、新たにモデルチェンジをしたナビタイマーですが、この新しいモデルを見てみると私が知っている90年代以降の従来のナビタイマーはモダンだったのだと改めて感じました。ナビタイマーと言えば“クラシック”だと思っていたんですけどね。
いつの時代も誰が見てもパッと分かる個性的なデザインですが、時代と共にモデルチェンジを行い、その都度魅力的な個性を感じさせてくれる不思議なモデルです。
シンプルな時計も素敵ですが、何だか分からない複雑さと緻密さがある文字盤、どんなに見ていても見飽きることがない時計です。
時計史に燦然と輝き名を残す名機の1つであることは間違いありません。
おまけ。
スイス、チューリッヒのデパートに入っているブライトリングブティック。
カフェが併設されていてブライトリングの世界観が堪能できます。
3月のブライトリングのイベントでチューリッヒに訪れた際に訪問させてもらいました。
とても魅力的な空間でした。
もしチューリッヒに行くことがあれば是非!
そしてジュネーブではウィリー・ブライトリングの息子さん『グレゴリー・ブライトリング』さんにお会いできました。
サインも頂きました。私にとってウィリー・ブライトリングは“伝説の人”的存在。もはや神話の世界の話と言ってもいいくらいの存在なんです。
そんなウィリーの息子さんに会えるなんて、一生の宝物です!
この本にサインを書いてもらいました。
この本めちゃくちゃ良いです。このブログで書いた何倍ものナビタイマーに関する歴史が書かれています。
日本語版も作られているのですが、海外の出版社なので今のところ国内で普通に流通はしていません。
海外サイトですがコチラから購入できますのでご興味のある方は是非。
おまけ2。
1950年代のオリジナルのナビタイマーってシンメトリーに感じるのですが
厳密に見ると14分、16分の目盛りと、それに対をなす44分と46分の目盛りが違うんですよね。
14分、16分の目盛りは長くハッキリしているのに、44分、46分の目盛りは短く曖昧なんです。
復刻したモデルはそこらへんはちゃんと均一になっているのですが・・・
↑オリジナルモデル
こうやって見ると分かりますよね?
目盛りマニアな私は昔から気になっていた部分なんです。
ま、普通の人はこんなところまで気にしないですよね、、、、(;^_^A
あとはオリジナルのAOPAウィングロゴの翼の線は左右太さとか違うんですよね。
復刻モデルや、シン・ナビタイマーは同じバランスになっていますが。
こういう所で時代を感じます。
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その他、ブライトリング関連おススメ記事
◆70周年【シン・ナビタイマー誕生】~歴史や機能から紐解くナビタイマーの魅力とは~
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ポルトギーゼの魅力を考えてみた。
こんにちは飯田です。
今回は久しぶりにIWCのことを書きたいと思います。
IWCの魅力は何か?と問われると、1つは500年先を見据えたブランドであるということが挙げられます。
機械式時計は一生モノという言葉を耳にしたことがある人も多いと思います。
確かに機械式時計は不具合が生じても修理(修復)可能な場合が多いですし、交換パーツが無くとも旋盤機で代替パーツを作って直そうとすることも可能なものです。
しかし、時計メーカーが自社の時計を永きに渡って修理を請け負うか?というと殆どのブランドがそうではありません。
交換パーツの在庫が無くなってしまった場合は修理を断るケースも多いのです。
そのような中、いかなる年代の物でも修理を行うと公言しているブランドがあります。
それが
・オーデマ・ピゲ
・ヴァシェロン・コンスタンタン
・ジャガー・ルクルト
・IWC
以上の5社です。
この5ブランドの中でもIWCは比較的、私達一般の人でも手の届きやすい価格帯で製品を作っています。
なぜならば、その背景としてはIWCは超高額モデルも製造していますが、パイロットウォッチやダイバーズウォッチなど実用時計も広く手掛けるブランドだからです。
時計は工芸品と実用品の狭間にある物だと思うのですが、時計に限らずあらゆる物は実用品寄りになればなるほど余計な装飾は施さず機能のみを求めるるのが一般的です。
IWCの時計もまた道具としての実用モデルを古くから手掛けているブランドですので価格帯も比較的手に入りやすいモデルが多いのです。
IWCの歴史
IWCの創業は1868年
創業者はフロレンタイン・アリオスト・ジョーンズ(F.A.ジョーンズ)。
創業時は若干27歳の若者でした。
会社の正式名称は『International Watch Company(インターナショナル・ウオッチ・カンパニー)』。
その頭文字をとって『IWC』と呼ばれています。
ここであまり疑問を持つ人はいないかもしれませんが、
スイスは母国語がなく、地域によってドイツ語やフランス語などが使われております。
なぜ、スイスブランドなのに社名が英語なのか?
それは創業者F.A.ジョーンズがアメリカ人で、IWCはアメリカ市場をターゲットに設立された会社だからです。
ジョーンズは合理的な生産体制の『アメリカ式製造システム』と『スイスの伝統的な職人技術』を組み合わせることで質の高い時計を大量に生産できると考えました。
そしてそれらの時計をアメリカに輸出してアメリカで販売しようと考えていたのです。
そこで、スイスに渡ったジョーンズが目をつけたのが
スイスの中でもドイツ国境に挟まれたドイツ語圏の地域。
なぜ、この土地に目をつけたかというと、
この土地にはライン川が流れていました。
ライン川の水力発電所の電力を利用して、部品製造機械を動かし、時計を大量生産ができる大規模な工場を建設することができる、と考えたわけです。
スイス
ちなみに、スイス時計の会社はほとんどが西部ジュネーブからバーゼルのあたりのフランス語圏にあります。
IWCは唯一ドイツ語圏にある時計メーカーとなりました。
シャフハウゼンはドイツ語圏ということもあり、住む人達もドイツ気質な人達が多く、結果的にIWCで働く従業員たちも必然的にドイツ人気質な人達が多くなりました。
そんなことも相まって、IWCはドイツ的な時計と言われるようになりました。
『ドイツ的な』とは?
◆質実剛健なモノづくり
◆シンプルなデザイン
と、言ったところがIWCの時計のドイツ的な部分になってくると思います。
質実剛健・・・ドイツはマイスター制度があり、職人の国です。
工業製品も有名で皆さんもご存知のようにベンツやBMWをはじめ、自動車も有名です。
そんなドイツは『オーバースペック』、『オーバークオリティ』と言われるような、ここまでやるの?と言われる程のスペック、クオリティを追求することが多いです。
シンプルなデザイン・・・ドイツはバウハウスに代表されるように、デザインに関しても有名な国です。
ドイツ的なデザインとは引き算のデザインであると思います。
とかく、『デザイン』と言うと何を付け足していくか?に気がいきやすいですが、引き算のデザインとは、余分なモノは何か?何を排除するか?という観点になります。
意外とコレが難しく、センスも問われます。
『あった方がいいような気がするけど・・・』と思ってしまい、なかなか余分なものを削ぎ落とすことってできないもんです。
それを見事にやっているのがIWCだと思います。
このような、スイス時計でありながら、他のスイスブランドとは異なった独自の道を歩んできた歴史のあるIWCはスイス時計の中でも特異なブランドとなったわけです。
ちなみに、もう少しイメージしやすくご説明しますと、
そんなニュアンスの時計版がスイスの西部地区です。
シャフハウゼンで時計メーカーを創業するというのは新潟でメガネメーカーを創業するようなもんだと思います。
そんな特異な時計メーカーIWCは時計職人養成学校も運営しています。
スイスでただ一社、民間の養成学校です。
時計職人を養成できることこそが、IWCの時計理論の信頼性を物語っていると言えます。
ポルトギーゼの誕生背景
現在、IWCのラインナップの中でも人気のあるシリーズの1つがポルトギーゼです。
シンプルなデザインのモデルでありながら、見る人の深層心理に何か訴えかけてくるようなそんな不思議な存在感のあるモデルだと思います。
Ref:325
1939年に製造されたポルトギーゼの第1世代。薄型手巻きムーブメントCal.74を搭載。
第1世代は1939年から44年(52年もしくは51年説もあり)まで製造された。生産本数は304本程度とされる。
ポルトギーゼの誕生は1930年代後半に2人のポルトガルの商人が『マリンクロノメーター級の高精度の時計を作って欲しい』という要望から生まれた物です。
当時、貿易国のポルトガル商人は海を船で渡って商売を行っていました。
広い大海原を航海するのに必要なのが正確な時刻を知らせる時計でした。
太陽の位置と時間で海図上どこの位置に自分たちがいるのかを把握しなければいけません。
そのようなことから当時の航海にはマリンクロノメーターと呼ばれるものが使われていました。
そのような時代背景の中、IWCへオーダーされたのが『マリンクロノメーター級の腕時計』というのが通説です。
出典:Wikipedia
マリンクロノメーター
機械式時計には姿勢差というものがありますが、海上においては波による揺れによって正確な時刻を表示するのが困難でした。
そこで波の影響を受けても常に水平に保っていられるようにした高精度の時計がマリンクロノメーターとして使用されていました。
ちなみに、この2人のポルトガル人というのがロドリゲスとティシャイラという人物。
ロドリゲスは、ポルトガルの首都リスボンの時計店「ロドリゲス・エ・ゴンサウヴェス」のオーナーでありました。
ティシャイラに関しては詳しい記録が残っていないということです。
なお、この話を聞くと個人的にいつも思うのは『なぜクロノメーター級の高精度時計を要求したのだろう?』ということです。
どんなに精度の高い腕時計があったとしても、当時の船にはマリンクロノメーターが搭載されていたはず。
それなのにどうしてそんなに高精度な腕時計が必要だったのか?
そもそも、精度の高い腕時計を作る為に懐中時計のムーブメントを搭載したことによって初代ポルトギーゼは当時としては大型の42㎜の腕時計となったというのが定説。
しかし、軍用目的で作られた時計では同時期にも懐中時計のムーブメントを搭載した大型の時計が作られたりもしていました。
出典:Chronos
1930年代のビッグ・パイロットウォッチ(52T.S.C)
ケース径55㎜
IWCのビッグ・パイロットウォッチもその1つ。ただ、軍用目的の時計の場合は42㎜よりももっと大きな物になっていました。
ポルトギーゼはムーブメントをギリギリ納めることのできるケースサイズで作られたのです。
しかも針などは懐中時計から転用した物がそのまま使われたことで奇しくもポルトギーゼにエレガントさを兼ね備えさせました。
つまり軍用時計のような単なる道具としての時計ではなく、身に着ける為の装飾具としてのデザイン性も持ちながら高精度の時計を目指したのだと思われます。
なぜか?
ロドリゲスは自分で身に着ける為にそのような注文をしたのか?
そうだとしたら、ロドリゲスという人物はファッションに敏感で、かつ時計に拘りを持つ愛好家でもあったような気がします。
それとも船長や自分よりも目上の人の為に作らせたのか?
船上の上でマリンクロノメーターを確認するまでもなく、ほぼ正確な時刻を手元で確認できた方が船上における重役には良かったのかもしれません。
真相は分かりませんが、個人的には当時に想いを馳せると、今のような近代的な設備のない航海において時には命の危険にさらされることがあったかもしれません。
何日間にも海の上で暮らす、長い船旅、、、、
そのような環境下において単なる道具としてだけではなく、精神的な支えともなる腕時計を欲していたのではないかと思うのです。。。
かくして誕生したポルトギーゼは1939年に市販化をされます。
しかし、大型の腕時計ということもあってか当初ポルトギーゼの市場での評価はさほど高くなかったようです。
ポルトギーゼの第1世代は1939年~1944年 キャリバー74を搭載。
その後第2世代が1944年~1958年 キャリバー98を搭載されて作られました。
その後生産終了となり、1970年代には余っていたケースを使ってジャーマンエディションと呼ばれる第3世代が100本程度作られています。
出典:Chronos
Ref:325
1944年以降、58年まで製造されたポルトギーゼの第2世代。
当時最新の高性能な懐中時計用ムーブメントCal.98を搭載する。
生産本数は最大282本から最小209本とされている。
そんなポルトギーゼが日の目を見るきっかけとなったのがIWC創業125周年の1993年なのです。
この年に発表されたのが125周年を記念して生産された限定品、ポルトギーゼ・ジュビリー(Ref:5441)でした。
このモデルはオリジナルのポルトギーゼをほぼ忠実に復刻させたモデルでした。
最近は他のブランドも“完コピ”とも呼べる復刻モデルを出すことが多いですが、このジュビリーはまさにその先駆けだったように思います。
そのジュビリーは熱狂的な支持を集めました。
そのジュビリーでの反響に手ごたえを感じたのか、IWCは1995年にポルトギーゼ・ラトラパンテを発表
↑1995年ポルトギーゼ・ラトラパンテ
そして、ラトラパンテの派生モデルとして1998年にポルトギーゼ・クロノグラフが登場します。
このポルトギーゼ・クロノグラフはデザインを変えることなく現在まで継続して作られているロングセラーモデルとなりました。
※現行モデル。1998年初期の頃はインデックスのアラビア数字はエンボスでしたが現在はアップライドインデックスとなっています。
またムーブメントもETA7750をベースにしたものでしたが、現在はムーブメントは69355となっています。
1998年にポルトギーゼクロノグラフが誕生して以降は徐々に人気を集めていき、
2000年にはクルト・クラウス渾身のムーブメント、キャリバー5000を搭載したポルトギーゼ オートマティック2000が登場。
ポルトギーゼ オートマティック2000
7日間のパワーリザーブを搭載。ペラトン巻き上げを採用し、初代ポルトギーゼと同じように大型のムーブメントキャリバー5000がこのモデルのサイズに必然性をもたせていました。
それ以後、ポルトギーゼのシリーズは様々なバリエーションを広げながらIWCの中でも人気の高いシリーズとなっていきました。
現在のポルトギーゼ
また、画像で見ても分かるようにケースいっぱいにムーブメントが納められており、
この時計のケースサイズは必然的にこの大きさになってしまったというのもポルトギーゼらしいところです。
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44.2㎜
3気圧防水
44.6㎜
6気圧防水
ポルトギーゼの中でも異端とも呼べるモデルがこのヨットクラブではないでしょうか。
デザインの要素はポルトギーゼなのですが、スポーティーな要素が詰まったモデルです。
ポルトギーゼはクラシカルでドレッシーなモデルという認識がある人にとってはこのモデルはポルトギーゼぽく感じないのではないでしょうか。
しかし、逆に言えばポルトギーゼ・クロノグラフやオートマティックでは何か物足りないと感じている人やもう少しアクティブなイメージのポルトギーゼが欲しいと思っている人にはピッタリのモデルだと思います。
40.4㎜
3気圧防水
こちらは2020年に発表されたポルトギーゼ。
IWCファンが永らく待ち望んでいたポルトギーゼとして発表と同時に一気に人気が出ました。
デザイン的には1930年代のポルトギーゼに最も近く、サイズ感は大きすぎず程よいサイズでありながらも全体的にはポルトギーゼらしさを損なわない大きさとなっています。
また、搭載するムーブメントCal.82200はIWCの特許であるペラトン巻き上げを採用している点も嬉しいところ。
この82系のムーブメントを搭載しているモデルで100万円を切っているのも嬉しい。
同じ82系ムーブを搭載したビッグパイロットウォッチ43が100万円以上することを考えると、この価格設定はIWCの戦略的な価格設定ではないかと思われます。
いつまでこの価格で提供してくれるのか分からないが非常にコストパフォーマンスが高いモデルであるのは間違いありません。
なお、ポルトギーゼ・オートマティック40に関してはCHRONOSの記事が非常に読み応えありますので
是非ご一読を。⇒編集長ヒロタ驚喜! 2020年の新作「ポルトギーゼ・オートマティック40」にIWCの底力を見る
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42.4㎜
3気圧防水
こちらは82系ムーブメントに永久カレンダー機構を搭載したモデル。
今までポルトギーゼのパーペチュアルカレンダーではSSケースを採用してこなかったのですが、こちらはSSケースを採用し、さらに西暦表示などを省くことで価格面でも200万円台を実現。
憧れのIWCパーペチュアルカレンダーがこの価格で手に入れられるのはファンにとっては嬉しいはず。
なお、これは好き嫌いが分かれるところかもしれませんが、このポルトギーゼは“ポルトギーゼ”というシリーズでは唯一センターセコンドを採用しています。
今まではどのようなモデルであれ、スモールセコンドだったのがポルトギーゼでした。
そのような点で考えると見た目は明らかにポルトギーゼではあるのですが、ポルトギーゼの枠を破ったポルトギーゼと言っても良いのではないかと思っています。
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41㎜
3気圧防水
パネライの魅力について考えてみた。
こんにちは。
寒い季節になるとなぜか気になってくるダイバーズ。
何でか?雪の上でも中でも安心して使えるスペックだからなのか。。。
なかでも個人的な関心度が高いのはパネライ。
なんか最近パネライが気になるんですよねぇ。。。
あ、
パネライに関しては好きすぎて以前も熱い連載をしていますので、コチラ
是非ご覧ください!!
深く、深く、パネライを知りたい方には自画自賛ではないですが、そこそこ読み応えあると思います(;^ω^)
で、パネライに惹かれる理由を考えてみたんです。
色々と思考していきついたのが、ミリタリーなのにフォーマルにもいけちゃうってところなのかな?と。
学生の頃からミリタリー系のモノは好きだった+年齢を重ねて年相応のフォーマルな物にも惹かれるようになってきた。
そんな自分の趣味嗜好が今またパネライに関心を持たせているのかな?と自己分析。
ご存知の方も多いと思いますが、パネライはイタリア海軍の特殊部隊用の時計をルーツに持つミリタリーウオッチが出自。
その背景からおのずとカジュアルな服装には合わせやすい時計なのですが
不思議とスーツスタイルにもマッチしてしまう時計なんですよね。
軍モノ・・・・
そもそもが我々の身の周りの物って軍モノをルーツにしているのが多いですよね。
軍用に開発された物がやがて民生用となって我々の生活に馴染んできたような物。
パソコンなんかもそうですしね。
洋服のルーツだって軍服な物が多いですし。
トレンチコート、Pコート、スーツなんかだって元々はそうです。
雑感ですが40年代~50年代にかけて作られた軍モノ時計はスーツとの相性が良いように思うんですよね。
道具(ツール)として誕生した当時の時計はミニマムな洗練された無骨さがあります。
その誕生から年数を経て熟成されたデザインの時計というのは不思議とフォーマルにも合うように感じます。
ちなみに『PANERAI スーツ』というキーワードで画像検索するとこんな感じだ。↓↓↓
ダンディーな男性が身に着けてもイイ感じに映える
そもそも私に限らず男性は軍モノアイテムが好きですよね。
『ミルスペック』なんてフレーズも大好物。(少なくとも私はw)
全身のコーディネートの中に1点だけミリタリーな要素を入れたりとか、
それだけで何となく気分が上がります。
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そんなパネライの中でも私が気になるのは以下の4本
PAM00233
44mm
100M防水
パネライ初の自社ムーブメントであり、最高峰のムーブメントP.2002を搭載した代表作。
シンプルな文字盤ですが多機能なところが使っていて楽しいモデルです。残念なことに生産終了してしまったのが悲しい名機です。
②8日間のパワーリザーブ&水平方向のインジケーター
③0リセット機能
パネライはパッと見た目がどのモデルも似ているのでよくわからないまま自分の予算に合った物を購入するという人も少なくないです。
しかし、以前もブログで再三お伝えしてきているのですが、品番毎に細部の拘りがあるのがパネライなのです。
一度所有してみて、細部の違いなどが分かってくると、このPAM00233の魅力はさらに理解していただけると思います。
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次に個人的に気になる時計、というかおススメがコチラ
PAM00560
44mm
300M防水
比較的パネライの中ではお求めやすい価格のこのモデル。
エントリーモデルのPAM00773も捨てがたいのですが、ここはやはりムーブメントも含めてPAM00560かな、と。
ただ、このPAM00560は廃盤になってしまったんです、、、、
そうすると後継機PAM00914も気になるところ。。。。
PAM00914
44mm
300M防水
PAM00560と比較するとパネライ伝統のサンドイッチ文字盤になっており、
夜光塗料もヴィンテージ感のあるベージュとなっています。
サンドイッチ文字盤はパネライが軍に時計を供給していた時代に夜光をより強く光らせる為に用いた技法です。
当時自発光の放射性物質であるラジウムやトリチウムを原料としていたので、分厚く塗ればより強く光ったわけです。
しかし、文字盤の上に分厚く夜光を塗ろうと思っても文字が崩れるし限界があります。
そこで、下板に夜光を厚く塗って、その上に数字を繰り抜いた上板を重ねたんです。
しかもこの方法なら夜光が劣化しても何度も塗りなおして使い回すことが可能。
そんな背景があるのがサンドイッチ文字盤なんです。
現在は夜光にルミノバを使用しているので、実用的には意味はないのですが
シンプルなパネライの文字盤に立体感を与えてくれます。
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そして、最後にご紹介するのがコチラ!
PAM00372
47mm
100M防水
1950年代、イタリア海軍に供給していた個体をほぼ忠実に再現したモデルです。
完コピと言ってもいいようなモデルですね。
オメガのトリロジーやブライトリングのリエディションなど昨今は
完コピ復刻モデルを多く目にするようになってきましたが、その完コピの先駆的なブランドと言ったらパネライじゃないでしょうか。
このPAM00372が発表される以前より限定品で完コピモデルを出したりしていましたし。
このPAM00372は47㎜と大きいのですが造形がとにかく素晴らしいのです。
(出典:Web Chronos)
実際は鍛造の一体型なのにラグがケースにロウ付けされたかのようなエッジの効いた造形
ケースサイドも曲線とエッジを絶妙に用いたディテール
見ていて飽きません。
(出典:Web Chronos)
こちらは元となった1950年代のオリジナルの時計です。
本当、よく再現したと思います。
残念ながらこのモデルももう入手不可。廃盤です。。。。
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皆さん、パネライの時計ってシンプルな時計ってイメージを持っている方が多いようなんです。
文字盤のデザインがシンプルな物が多いからそう印象付けられているのだと思います。
でも、実際はケース形状などシンプルとは違い、とても凝った作りをしているのです。
パネライを見ていて思うのは
このディテールの見ていて感じる魅力は建築物などの造形美に近いのかな?と。
魅力ある建築物はもちろん実用的でありながらも見ていて楽しさのあるモノですよね。
パネライの時計にはそれがあるように思います。
なぜスイスは時計大国となったのか?
こんにちは。
スリークの飯田です。
さて、みなさん突然ですがスイスの人口って何人くらいかご存知ですか?
スイスの人口は808万人です。
この人数どう思います?
日本の人口は
東京:1363万人
神奈川:914万人
大阪:883万人
愛知:750万人
大阪よりも人口少ないんですよっ!!!
私が初めてその事実を知った時はビックリでした。
小さい国だとは思っていたのですがあまりそれを実感するような比較をしたことがなかったので。。。
でも、こうやって見てみるとこの少ない人口で世界一の時計国家となっているのが素晴らしいじゃないですか。
ではなぜスイスで時計産業が栄えたか?
これについて今回はご説明しようと思います。
まず、答えから簡単に申しますと
宗教戦争でフランスからスイスに逃げ込んだユグノーと呼ばれる人達がジュラ地方で時計作りを始めた為
です。
以下、少し詳しく説明します。
キリスト教には
カトリック(旧教)⇔プロテスタント(新教)
◆マリア像やキリスト貼り付けの十字架⇔十字架
◆神父⇔牧師
◆ミサ⇔礼拝
◆ローマ法王が頂点⇔キリストが頂点
◆ローマ法王の教えが教義⇔聖書のイエスの教えが教義
◆豪華⇔質素
と、カトリックかプロテスタントかで色々と違いがあるんですね。
私なんかそこらへん無頓着なので神父=牧師、ミサ=礼拝だと思っていました。
何というか別名というかどちらで呼んでも良いものだと・・・・
さて、なぜプロテスタントが出てきたかと言いますと
キリスト教は16世紀に教会が力を増していき免罪符などを売って利益を得、腐敗していったのです。
その教会に疑問をなげかけたのがルター。
教会の言っていることよりも、聖典である聖書の言っていることに忠実に生きた方がいいのではないか?と主張。
これがプロテスタントの始まりなのです。
ルター派
農民へ広がる
余分な貯蓄は禁止
宗教的迫害を受けたユグノー達が逃げ込んだのがカルヴァンが拠点としていたジュネーブでした。
商工業者が多いユグノーは手先が器用な人が多く、冬場は雪が凄いので家にこもって時計作りをして生計をたてるようになりました。
↑スイス
このような経緯をたどりジュネーブからバーゼル方面へ向かうジュラ山脈の地域で時計産業が栄えました。
今もなお、この地域に多くのメーカーがあります。
以上のような歴史があってスイスでは時計が栄えたのです。
宗教に関しては上記で述べたのは簡単に書いたので、本当はプロテスタントやカトリック、
ルターやカルバンなどの違いは細かく色んなことがあるのですがここでは割愛いたします。
なお、
スイスの言語は
ドイツ語63.7%
フランス語20.4%
イタリア語6.5%
ロマンシュ語0.5%
その他9%
となっています。
こう見るとドイツ語が主流のように思いますよね。
時計メーカーの殆どがフランス語圏に集中しているのは上記のような歴史的背景がある為なのです。
以上雑学でした。
モノはどのようなものでも背景にある文化や歴史を知ると
より興味深いものになります。
是非とも皆さんの大好きな時計の背景に想いを寄せてみるのも良いと思います。
飽和潜水とは?ヘリウムエスケープバルブとは?ダイバーズウォッチについて。
こんにちは。
皆さんも大好き?なダイバーズウオッチ。
そんなダイバーズウオッチを手に取って気づいたことがある人も多いはず。
時計の横に付いているこの丸いボタンのようなもの。
はたまたこのような感じで10時方向にリューズのような飛び出ているもの。
これは『ヘリウムエスケープバルブ』と言います。
これらは何につかわれるのか??
書いて字のごとくヘリウムガスを時計の内部から逃がすバルブなのです。
へっ?と思う方もいますよね。
まぁ、残念ながら一般人が使用することは基本的にございません、、、、
ただこのヘリウムエスケープバルブを装備していることがプロ向けのダイバーズウオッチの証!として選ばれる方もいらっしゃいます。
このヘリウムエスケープバルブは『飽和潜水』をする時に必要となります。
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では、飽和潜水についてご説明する前にまずは減圧症(潜水病)についてご説明を。
あまりにも深いところに潜っていくと水圧が高くなります。
そうなると高圧空気で呼吸することとなり生体組織へ気体が溶け込んでいきます。
その後、海面へ上昇する際に早いスピードで上昇すると
急激な減圧により、生体組織に吸収されていた気体の体積が膨張して気泡となってしまうことがあります。
これが血液中で起こると血管を塞栓し血行障害を起こしたりします。
特に窒素の溶解度は酸素の半分位で、しかも窒素は空気の80%を占めるので、減圧したときに真っ先に気化され、
これが典型的な減圧症の主な原因となっています。
しかも、窒素には『窒素中毒(窒素酔い)』というものがあります。
高分圧(3~4気圧程度以上)の窒素を摂取すると発症する中毒です。
多幸感や精神の高揚感などがあり、酒に酔ったような症状から窒素酔いとも言われます。
中毒そのものはそこまで生命に関わるような危険性は少ないのですが
判断力の低下が事故に繋がる危険性を持っています。
そこで!考案されたのが
『飽和潜水』なのです。
生体組織に吸収されるガスの量というのは一定量決まっており、
一定の圧力下においてはそれ以上は体内に溶け込まないのです。
これを応用して不活性ガスであるヘリウムガスを体内に溶け込ませ、
それ以上は体内に他のガスが溶け込まないようにして潜水するのが飽和潜水です。
この技術を使うことにより安全に100m以上の深海でも作業を行うことができるようになります。
なかには700mの深さでも作業をしたりします。
↑の図が飽和潜水の仕組み
ご説明しますと
DDCというカプセルに入って、そこで潜水士はヘリウムガスによる加圧をします。
加圧する時間は潜る深さにもよりますが数時間から1日近くかかります。
その後、SDC(水中エレベーター)に移り深海にまで行き、海の中へと出ます。
作業を終えた後はまたDDCに入り今度は減圧を行いヘリウムガスを抜きます。
この減圧に関しては10日前後を要します。
このような過程により海面への急上昇をする必要もなく急激な減圧が無い為、減圧症を発症することもなく
窒素を取り込まないので窒素中毒にもならないというわけでございます。
このような大変な過程を経て大深度での潜水が行われるのです。
ちなみに日本ではこのような飽和潜水を行うのは海上自衛隊だけです。
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で、上記に述べた浮上する際の減圧時に
時計内部に入っていたヘリウムガスが膨張して時計の風防が吹っ飛ぶなどの事故が起きる為、
そのヘリウムガスを抜く、バルブが『エスケープバルブ』なのです。
飽和潜水自体は一般的ではないのですが
時計の世界ではエスケープバルブこそが『本物のダイバーズウオッチの証』のごとく
取り付けられているモデルも多々あります。
こちらは自動エスケープバルブを採用しています。
自動なので突起したボタンのようになっていません。
こちらは手動エスケープバルブでございます。
手で回してガスを抜きます。
自動と手動、どちらが良いかはこれまた賛否あります。
手動だと確実に操作ができます。(自動だと、もし故障していてもわかりませんもんね)
一方、手動だとバルブを回し忘れてしまうというヒューマンエラーを発生するというリスクもあります。
と、
真剣に考えてどっちがいいのか?
などと思いにふけるのですが・・・・
『お前には必要ねぇーじゃん!』といつも最後にもう一人の自分が突っ込んでくるのです、、、、
なにはともあれ
オーバースペック、オーバークオリティは男子たるものの大好物だと私は思っています。
特にダイバーズウオッチは水に潜らない人でも
『耐久性』というところに魅力を感じます。
どんなところにでも着けていけそうな安心感が男の道具!という感じがして好きです。
ダイバーズウオッチが気になる方は是非このエスケープバルブに着目してみるのも1つの楽しみかもしれません。
最後に飽和潜水の別な図解のご紹介。
BREITLING AEROSPACE(エアロスペース)の歴代をモデルの違い
こんにちは。
私がブライトリングを着用し始めた1990年代後半、当時のブライトリングファンは
最初に機械式時計を買うのですが
2本目、3本目のブライトリングに『エアロスペース』を買う方が多かったです。
現在では当時ほど注目を浴びていないような気がするのですが
ある意味、ブライトリングらしい時計の1つだと思います。
常に熱く実用性を追求したモノづくりをするブライトリング。
今回はそのブライトリングにおいても実用性NO.1と言っても良いのではないか?
と思うエアロスペースのご紹介。
エアロスペース エヴォ
E793B27PST
43㎜
100M防水
よく機械式時計の有名なブランドがクォーツ時計を作る場合、
機械式モデルの廉価版としてクォーツモデルを出したりしますが
ブライトリングの場合はパイロットウオッチとして最先端のテクノロジーを駆使した
クォーツ時計も必要だろう!ということで結構本気で作っています。
その中でも少し前に話題になったのは
自社製クォーツムーブメントを搭載したB55、エクゾスペース。
スマホと連動する所謂スマートウオッチ。
写真のこのタイプで120万円!
この時計の面白いところはスマホの補助ツール的な役割ではなくて
スマホが時計の補助をするような感じと言えばいいのでしょうか。
時計でも操作できるのですが、スマホで簡単に設定でき、記録もできると言った感じです。
そして同じく自社製のクォーツムーブメントを搭載したB50。
こちらはB55からスマホとの連動機能を無くしたようなモデル。
超多機能で、スマホとの連動が不要という方にはコチラでも充分おススメ。
デザイン的にB50とB55は違うのでこれもまた悩みどころ。
が、
しかし!
今日おススメするのは
エアロスペース。
もちろん、B50もB55もそれぞれ違った魅力あふれるモデルなんです。
ただ個人的な『実用性』と言った観点で見るとエアロスペースの最大の魅力が
リューズ1つで全ての操作ができる!!ということ。
しかも、説明書を見なくても感覚的に操作できちゃいます。
そこが他のB50やB55と言ったスーパー多機能モデルと違うところ。
ちなみにリューズを回すと液晶に表示されるモードが変わるのですが
そのモードの種類を挙げておきますと
■時刻表示(時:分:秒)
■ニュートラル(何も表示なし)
■アラーム
■第二時間帯
■タイマー(カウントダウンタイマー)
■曜日 日にち
■秒数 日にち
これだけの機能が付きながら
さらに
■ミニッツリピーター
までついているのです。
ちなみにミニッツリピーターというのは音で現在時刻を教えてくれる機能なのですが
エアロスペースの場合はリューズを押すと音が鳴ります。
たとえば
5時37分の場合
『ピー、ピー、ピー、ピー、ピー』と5回(=5時)鳴り
次に
『ピコッ、ピコッ』と2回(=15分単位で1回鳴るので2回鳴ったというのは30分ということ)
そして
『ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ ピッ、ピッ』と7回(=7分。しかも5分毎に少し間が空きます)鳴ります。
他にもリューズ操作をしているとバックライトが点灯したりもします。
これだけの機能がリューズ1つで
しかも感覚的に操作できるというのは非常に便利!
せっかくのクォーツなのだからもっともっと色々な沢山の機能が詰まった時計が欲しいという方には物足りなさがあるのかも知れませんが
個人的には『腕時計』としてみてら充分な機能というか
より洗練された機能の数、という感じがします。
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そもそもこのエアロスペースは
故アーネスト・シュナイダーさんがBREITLINGの経営を引き継いで本当に作りたかった時計なのです。
詳しくは以前発売された雑誌Chrnosを読んで欲しいです。
クロノス5月号を読んでいただければ充分すぎるほどわかるはず。
ブライトリングが好きな方は保存版として購入していただきたい内容。
(まだバックナンバーとかで買えるのかな???)
WEBでもコチラで少し読めますので是非読んでいただきたいです。
時計ジャーナリストの広田さんがアーネスト・シュナイダーになりきったような迫力で書き上げている渾身の記事です。
まぁ、ここで簡単にご説明しますと
ブライトリングの3代目社長、ウィリー・ブライトリングには跡継ぎがいなかったのです。
それで、事業の継承者として選んだのがアーネスト・シュナイダーさん。
ウィリーがそもそも継承者の条件として挙げていたのがクォーツに秀でていること。
ウィリーはこの先の時計業界はクォーツが主流になっていくと思っていたようです。
一方、アーネスト・シュナイダーはエンジニア(軍で無線関係の先生?をしていたとか)であり
自身も『シクラ』という時計ブランドを持っており、そして自ら飛行機を操縦するパイロットでもあったのです。
まさにウィリーの跡継ぎにはピッタリの条件を満たしていました。
アーネストも自身が思い描く理想のクォーツ時計を作るには『シクラ』では高額になりすぎてしまうと思っていたのではないかと思われます。(シクラは比較的安価なモデルばかりでした)。
しかも『ブライトリング』というブランドにも興味があったに違いません。
そして正式に両社の間で契約が結ばれ『ブライトリング』ブランドはシュナイダーが引き継ぐことになりました。
そのシュナイダーさんが立て続けに出したモデルが
■クロノマット
■オールドナビタイマー
■エアロスペース
となります。
全く新しいパイロットの為の機械式時計として、イタリア空軍フレッチェトリコローリと共同開発されたクロノマット、ブライトリングの伝統を受け継ぐ機械式時計としてオールドナビタイマー、そして最新のテクノロジーを駆使したパイロットウオッチとしてのエアロスペースでした。
この三本の矢が現在のブライトリングの基盤を作ったと言えます。
そして、その大きなきっかけを作ったのがクロノマットと言う方もいます。
もちろん、クロノマットの功績も大きいのですが
先にも述べましたが、どうやらシュナイダーさんがブライトリングで本当に作りたかったのは『エアロスペース』だったんじゃないか、と思われるのです。
そこらへんの詳しい内容は雑誌『クロノス』を一読いただければと思いますが
まぁ、普通に考えたらそうかもしれないですよね。
エンジニアであるシュナイダーが自身の能力を最大限に活かした時計を作りたいと思ったら
それは機械式ではなくクォーツになると思います。
意外と知られていないのですが『アナデジ』と呼ばれるアナログ表示とデジタル表示が一緒になっているエアロスペースのようなモデルを言うのですが
アナデジの特許を取っているのがシュナイダーさんなのですよね。
なお、
エアロスペースのデザインは下記のような変遷をたどっています。
Cal.56
ケース径40㎜
ケース厚9.1㎜
ロゴがNAVITIMERに。後年AEROSPACEロゴになります。
↑後年のエアロスペース表記。
Cal.56
ケース径40㎜
ケース厚9.1㎜
ベゼルの仕様変更。チムニー(回転ベゼルを支える煙突)に5分毎の刻みが入る。
Cal.65(リピーターが付いた)
文字盤にバーインデックスが入る。
アラビアインデックスが斜めに変更。
エアロスペース・アバンタージュへモデルチェンジ
Cal.79(バックライト付)
※2001年にCal.75(温度補正スーパークォーツ
ケース径42㎜
ケース厚10.4㎜
ライダータブが削り出しになる。
Cal.79
文字盤の仕様変更。
フルアラビアのインデックスになる。
フランジ(見返し)にはレールウェイ目盛りが配される。
エアロスペース・エボへモデルチェンジ。
Cal.79
ケース径43㎜
ケース厚10.8㎜
フランジ(見返し)が無くなる。ベゼルのサイド部分でライダータブの凹凸が無くなる。
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以上のようなエアロスペースの歴史。
1969年に世界初のクォーツ腕時計が誕生してから47年が経ちますが
30年前に出来たこのエアロスペースというモデルはGショックと同様、歴史に名を刻むべき
偉大なクォーツ時計だと僕は思います。
ちなみに余談ですが
1983年に誕生した初代Gショック DW-5000Cは今もなお偉大なモデル。
↑これです。
様々なモデルが生まれているGショックですが
このDW-5000のデザインは不朽だと思うんですよね。
ブライトリングもこれから先も様々なクォーツを生み出していくと思うのですが
このGショックと同様、エアロスペースは不朽の名作となるはずです。
そして
何度も言っていますが
【実用性】・・・・まぁ、何を持って実用的というかの問題もあるのですが
視認性、操作性、耐久性というものを実用性の1つの基準とするなら
個人的にはかなり高い実用性を持ったモデルであると思っています。
特に操作性はかなり秀逸ですよ。
そして、程よく多機能で(この程よくというのがポイントで、もっと多機能になってしまうと操作性に難点が出てくるんだと思います)、
軽くて着けやすく、アレルギー耐性もある。
なんて素晴らしい時計なんでしょう!と思うわけです。
ぜひ一度は店頭で手に取っていじってみてくださいね。
時計の防水性について
こんにちは。
皆さん、時計を選ぶ時にある程度スペックは気にされると思うのですが
どのようなスペックを気にされますか??
私は意外と『防水性』を気にしてしまいます。。。
現代のモデルは殆どが日常生活防水以上のモデルばかりで、非防水モデルは見かけることがないので
基本的にはそんなに気にしなくても大丈夫ではございます。
あ、でも
時計着けて海に潜りたい!!
とか
泳ぎたい!!
とか、そういう考えを持ってるようでしたら別ですが。
ちなみに私が時計に対して防水性を気にするのは『いつでも、どこでも、常に身に着けていられる時計』が好きという個人的な感情だけでございます・・・・
でも、まぁどのようなモデルが欲しいかにもよるんですけどね。
ドレスウオッチなら日常生活防水で充分です。
ハードに使いたい時計でも、本当は100M防水あれば充分なんでしょうね。でも個人的には300M防水以上を求めてしまったり・・・
でも、あまり防水性が高いとケースの厚みが出てしまって、それも個人的にはマイナスに感じてしまったり。。。。
ここら辺のスペック問題は自分の中では尽きることのない永遠の課題でございます。。。。
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さて、そんなわけで防水性の話になりますが
防水性の表記は
「○○m防水」
「○気圧防水」(○ber)
などいろんな表記がされていますが、
一般的にはなんとなくこんな認識かと思います。
30m防水=3気圧防水⇒日常生活防水。雨にぬれるくらいはOK。
50m防水=5気圧防水⇒ちょっと水道の水がかかっても大丈夫。
100m防水=10気圧防水⇒水に入ってもセーフ。潜るのはNG。
~↓ここからダイバーズウォッチ↓~
200m防水=20気圧防水⇒泳いでも潜っても大丈夫
300m防水=30気圧防水以上⇒スキューバダイビングも出来る。
どの防水性でどこまで出来るのかというのは
メーカーごとに微妙に違うこともあるのですが…
(例えば100mでも泳いでいいよ!という場合もあったりします。)
ちなみに100m=10気圧としていますが、これは
「100m潜ったときにかかる水圧が10気圧に相当する」
ということです。
なんでハッキリしないの!!!
と言いたいところですが…
ハッキリしない理由の一つに
日本の規格と海外の規格が異なっているということがあります。
その為、なんだかもやっとした感じになってしまうのです。(笑)
防水性能の表示(WATER RESISTANT)は
日本ではJIS(日本工業規格=Japanese Industrial Standard)
国際的にはISO(国際基準化機構=International Organization for Standardization)
に基づいて定められています。
まず日本国内での分類の仕方についてですが、
日常生活用の防水時計の表示は『気圧』(Water resistant ○ber)表示で、
潜水用の時計(ダイバーズウォッチ)の表示は『メートル』(Diver’s ○m)表示
と、なっております。
表をお借りしてきました↓
もしくは・・・↓
ちなみにJISの検査は
潜水時計は防水表記の1.25倍の水圧をかけてテストを行い、
防水時計は防水表記のままの水圧でのテストを行います。
やはり潜水時計はより厳しい検査があるようです。
また単純に防水性能だけでなく
1.判読性 2.耐磁性 3.耐衝撃性 4.耐塩水性 5.水中作動性 6.操作部防水性 7.耐熱衝撃性 8.加圧防水及び強度 9.耐浸漬性 10.耐ヘリウムガス性 11.付属品の耐外力性
といった項目のテストもあります。
さて、
ここまではあくまで日本での基準に関する話なので、
海外製の時計の防水表示がそのままJISのものに当てはまるとは限りません。
上記にあるように、海外製の時計は主にISOに基づき表示がされています。
と言っても、JISの基準と大幅に異なっている…
というわけでは無さそうです。
(どうやらJISの規格がISOのベースになっているようです)
ただ、ISOでは防水性能を『気圧(ber)』と『メートル』
どちらで表示しても良いことになっているので
メートル表示だからといって
絶対水に入れても大丈夫!と思わないほうが吉なのです。
うーん、ややこしいですね(;'∀')
しかも!
すべての時計がこのISOやJISに沿った表示をしているわけではないのです・・・
ちなみにブランドによっても表現が違っていたり
同じブランドでも国によって表現が違っていたりして不思議なのです。。。
だいたい3気圧防水とかに対しては日本でもスイスでも同じような生活防水としての表現なんです。
一方で300M防水に関しても日本でもスイスでも同じようにダイビング可能という表現なのです。
一番ナゾなのが100M防水
ブランドによっては
日本の資料の注意書きには『軽くプールに入る程度。着けたまま泳がないでください』などのことが書いてある一方で
スイスの資料などには『水上スキー、飛び込み、素潜り可能』となっていたりします。
万が一のことを考えての表現なんでしょうね。。。
ただ、JIS規格や色々なブランドの防水性能表記など、そして個人の経験値を加味しますと
100M防水だったら泳ぐくらいは問題なし!!
と言えると思います。
ただ、店頭では『なるべく着けた状態では泳がないでください』と私は言いますけど・・・
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と、ここまで防水性について書いてきましたが
ここで一番重要なこと!
どんなに防水性の高い時計でも
ねじ込み式リューズをきちんと閉めていなかったり
長年オーバーホールやメンテナンスをしていない時計だと
本来の性能を発揮出来ないのでご注意くださいませ!
とりあえず、 防水表示の違いに関しては
② 規格の違い
といった感じで
なんとなーく頭の片隅に置いておいて頂ければと思います。
それでは、
お付き合いいただきありがとうございました!!!